不安定で公共事業や必要な行政サービスの提供が滞る

アルゼンチンは、ブラジルと並んで南米大陸を代表する大国です。

日本にいると、なかなか南米のニュースを耳にすることがないので、この国の政治状況や経済状況について、詳細を知っている人はあまりいないでしょう。

仕事上の付き合いがあったり、留学した経験のある人でもなければ、なかなかこの国の実態は把握できないのではないでしょうか。一般の日本人が、この国に対して持っているイメージは、サッカーとタンゴが大半でしょう。

サッカーは強豪ぞろいの南米諸国の中でも屈指の実力を誇り、ワールドカップやオリンピックが開催されるたびに優勝候補の一角にその名があげられます。

また、男女が密着して踊るタンゴの官能的なステップは、情熱的な南米人の気質をよく表していますが、それに魅せられてタンゴを習う日本人もとても多いです。

日本の都市部では、タンゴを教えるダンススクールも多いので、意外なところでこの国は日本とは馴染みが深いと言えるでしょう。

また、哀愁感の漂うタンゴのメロディは、日本人の情緒ともマッチし、ファンもとても多い音楽です。

さて、このように娯楽や文化面では、割と日本人にも親しみのある国ですが、経済的には残念ながら日本との関わりは少ないです。

その理由は、アルゼンチンの経済状況は非常に不安定なので、日本企業が投資を控えている、ということにあります。この国の政権基盤は常に不安定で、しばしば国家財政は債務不履行の状態に陥ります。

こうなると、政府が発行する国債も、インフレにより価格が大幅に値下がりしたり、償還できなくなってしまうケースがあるので、国民も海外の投資家も国債の購入を見合わせるようになります。

その結果、政府は国家運営のために必要な資金を調達できないために、公共事業や必要な行政サービスの提供が滞り、ますます投資環境が冷え込んでしまうのです。

隣国のブラジルがオリンピックを間近に控え、新興国の成長株として躍進を遂げている一方で、同じような大国であるはずのこの国が、経済的に停滞したままというのは何とも皮肉なことです。

長引く不況とインフレの加速により、この国で成功するためには、サッカー選手になるしかない、と半ば真面目に言われているほどです。

いずれにしても、国家財政の健全化を図らない限り、経済成長を実現できるのは非常に難しいでしょう。

そのためには、長期的に安定した政権の樹立と、基幹産業の育成や投資の推進が課題となっています。